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ショップコンセプトの設定

商売繁盛のポイントは、何でしょうか。①売れ筋の商品が揃っている。②価格が安い。③お店のサービスや雰囲気がいい。これぐらいは誰でも知っている常識ですが、現実的には競合店の存在など、様々な要因で理想どおりにいかないものです。大体、地域で何が売れ筋なのか分からない。

そこで、①売れ筋商品(と言っていいのか分からないけれど一番売れている商品)をお店の看板商
品としてクローズアップして、②価格を下げず、③サービスや雰囲気(陳列法)を大胆に再編することで、お店を活性化する方法を提案します。

たとえばスーパーで洗剤を買う時は、安くなった洗剤だけがワゴンに乗っているので、価格で選ばれる。しかし同じ洗剤を含めて壁一面に陳列されていたら、成分・用途・強さごとに分けられ、POPにもお店独自のレヴュー(お店が実際に使って試した上ですすめるというメッセージ)が語られていたら、お客様は価格以外の価値観で洗剤を選び始める。陳列のこだわりに感化されて、道具としての価値に気付き、本気で洗剤と向き合うのことになるのです。

具体例として、東急ハンズを紹介します。東急ハンズはどうして人気があるのか。扱っている商品そのものは近所の金物屋さんや雑貨屋さんに売られているものと大差ない。しかし、鉛筆一本でも珍しいものにこだわり、初心者用からプロ仕様まで揃えるという豊富なバリエーション。さらに探しやすく、どれが自分に向いているか判断しやすい、という巧みな陳列で見せています。この陳列方法こそが、他店にない個性を生むのです。

小規模の小売店の場合、あまり極端なことはできないでしょうが、お店で一番売れている商品のカテゴリーに絞って、特化したコーナーを作って見てはいかがでしょうか。店頭に無い商品を求めるお客様のために、メーカーなどを当たって取り寄せる。お客様の要望を聞くことはニーズの発見であるし、それにひとつひとつ応えることで「あの商品に関しては、あの店に行けば何とかしてくれる。ひょっとしたら、この商品も大丈夫かな?」とお客様に信頼され、期待されるお店へと成長していくことが可能になるのです。

陳列やPOPだけでは、なかなかサービスやスタッフの雰囲気までは変えられません。ショップコンセプトそのものを見直す必要があります。
食料品店なら、「食材を売りながら、食文化を売る」。地域の中で、どんな役割を果たし、どんな生活を地域に発信していくのか。「○○○を提供するお店」の○○○に当てはまる自店なりの言葉を考えて見てください。
洗剤を例に、コンセプトに基づいた具体的な活動として考えられるのが「お掃除セミナー」や「沁み取りセミナー」など、サロン形式のセミナーをお店の主催で開催。洗剤をもっと上手に、もっと効果的に、そして安全に使う方法を手ほどきしながら、常連顧客を育てていくのです。洗剤を売りながら、生活の知恵を売る。商品を売りながらお店の価値を売るのです。