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デザイン戦略

見やすく、伝わりやすいチラシを作るためには、視線の流れを上手く利用して、ブロックからブロックへと導くことを意識してください。

左右対称安定型レイアウト
中央にアイキャッチとなる写真やイラストを大きく配置して、視線を中央に一旦集めます。視線が中央に何回も帰ってくるので、記憶される確率が高くなります。最も大事なメッセージを、このスペースで端的にアピールすると効果的です。安定感のあるデザインなので、年配の方向けのチラシに適しています。

ヨコ2分割レイアウト
真ん中のキャッチフレーズやタイトルで趣旨を理解させ、自然な流れで視線は上の段へ、もう一度真ん中を見て、下の段へ流れます。上下で異なる二つの企画をアピールしたい場合に、効果的な手法です。ただし、同格のつもりなら上がメイン、下がサブの印象を与えないように配慮が必要です。

タテ2分割レイアウト
ヨコに分けるとメインとサブの印象を与えがちですが、左右に分けると、その心配は必要ありません。同格の複数の企画を振り分ける時に便利なレイアウトで、チラシふたつ分の訴求が可能です。企画がひとつだけではインパクトが弱い時に、てんこ盛りのイメージで紙面を盛り上げます。


ブロックレイアウト
アピールしたい商品が多く、しかも優先順位が付け難い時によく採用されるレイアウトです。商品のユニットをすべて同じ大きさにすると、整然として見やすい代わりにおとなしい印象を与えます。
あえて優先順位をつけて大小のメリハリを効かすとと楽しいチラシとなります。


タテ割りレイアウト
新規オープン時の挨拶状を兼ねたセール告知チラシに時々使われるやり方。小説や週刊誌など、日本人が慣れ親しんでいる視線の流れなので、比較的どんなものにでも応用が利きます。工夫しだいで、特に若い世代に新鮮味のあるチラシ作りが可能です。


ヨコ割りレイアウト
ヨコへの長めの誘導が何回も続くので、途中で飽きられるという欠点があります。しかし、イラストや写真を使ったり、文字の大きさや色、書体の変化で工夫していくと、若い世代にウケのいい楽しいチラシ作りが可能です。


チラシの用紙の使い方について。タテに使うとスピード感や緊張感が出るのでイベントチラシ向き。ヨコに使うと安定感があり、ヨコ広がりの明るさが出るので技術やサービスなどの信頼性をアピールするチラシに向いているように思われます。
あれもこれもと欲張ると、自己満足するだけのお客様にメッセージが届かないチラシになってしまいます。売れるちらしチラシ作りのコツは、絞り込んだアピールポイントで見せ場をしっかりと作ることです。

チラシのレイアウト

まず、A4サイズの白い紙を置いて、鉛筆を持つ。用紙はセールやイベントの場合はタテ使いをおすすめします。

①用紙の上部を5センチほど空けて、大きめの文字でセールのタイトルを書いてください。その下にタイトルより小さめにセールの期間を、さらに小さくセールの趣旨を20字ぐらいで書いてください。

②使いたい写真があれば、とりあえず紙の上にキャビネサイズぐらいの四角を描いてください。

③写真代わりの四角のすぐ側に(四角の中でも結構です。)、メインの商品名と価格、商品の説明文を書いてください。

④サブの商品名と価格、説明文をワンセットにして、載せる数だけ書き出してください。

⑤店名、住所、電話番号、ホームページがあればそのアドレス、簡単な案内地図をワンセットにして書いてください。

最後に、用紙の上部に設けた空きスペースに、大きくキャッチフレーズを書き込んでください。全体を眺めて、タイトルだけで企画の魅力が伝わるのであればキャッチフレーズは不要。その場合は、空けたスペースに店名を大きめに書いてください。これで、チラシのラフスケッチが完成。手書きチラシでいいのなら、そのまま写真を貼り付けてコピーをとれば出来上がりです。

商品のストーリー

同じ大きさ・同じ色艶・同じ価格のオレンジが二つ並んで売られています。右のオレンジには産地が大きく書かれたPOP、左のオレンジには農家のプロフィールと収穫までの苦労話が書かれたPOPが飾られています。そんな店頭風景を想像して見てください。
オレンジが収穫されるまでの苦労話は、そのオレンジが持つ独自のストーリーです。オリジナリティーの確立は、そのまま商品価値の高さとしてお客様に認識されます。かくして左のオレンジは割安感の創出に成功。お客様がどちらに魅力を感じるかは、言うまでもないことです。

このように情報開示できる商品を扱うことが、お店の信頼度を高めます。信頼の積み重ねが、お客様に「あのお店の商品なら、大丈夫!」と言わせるお店のブランド力の育成につながるのです。業種によってどのような切り口があって、チラシ制作では、具体的にどの程度の表現が可能なのか表にまとめてみました。

 食料品店     [生産農家のプロフィール]
                      メーカーから聞いた加工食品の開発物語
                      健康をテーマにするなど、仕入れへのこだわり
                      飲食店 修行(有名店・留学等)の話
                      メニュー開発秘話
                      素材・調理法へのこだわり
 塾・教室       [講師のプロフィール・情熱]
                      学ぶことへの想い
                      教え方の独自性
 工務店         [ スタッフのプロフィール]
                      工務店のあるべき姿を目指してなど、開業時の想い
                      住宅設備機器へのこだわり
 美容             [ 技術修行]
                      スタッフのプロフィール
                      新技術への取り組み

上の表の中から、食料品店の仕入れへのこだわりストーリーを表現してみます。ストーリーをメインにチラシを作る場合、タイトルは次の様なものが考えられます。
       〇日本中から探し集めた 体にいい食品フェア
       〇お客様が気にする所を確認してきました。生産農家の顔が見えるフェア
       〇郷土の知られざる名品、地元食品発掘フェア
ストーリーをチラシの中のサブコーナー(コラム)として訴求する場合。コーナータイトルとして、例えば以下のフレーズとボディーコピーが考えられます。

       【スタッフ自ら食べ比べて決めました。もう一度食べたい、トップ10コーナー】

                   「スタッフが選んだ3位の○○食品の○○は、一日千数百個しか生産されません。
                    そのうちの50個を今回特別に分けてもらいました。
                    新緑に包まれた○○県○○市まで通うこと3回、当店の熱意が届いた瞬間でした。」

忘れてはならないのが、来店時の対策。チラシのコピーから該当する部分を切り取ってPOPとして使うなど、店頭でのアピールにも活用してください。

現在多くのメーカーが、ウェブサイトにページを設けて、商品開発に当たっての苦労話や熱い想いを詳しく語っています。商品の背景にあるストーリーを通じて、開発理念への理解を深め、他社製品との違いを明確にし、商品価値の向上をねらっています。

ボディーコピーの書き方

ボディーコピーと言っても商品の手短な説明文のことで、400字を超えるような長い文章のことではありません。簡潔をモットーに商品のメリットを最短の文字数(なるべく100字以内)で、最大限アピールすることを目指します。

例文1:使ってびっくり!お客様から喜びの声が続々寄せられています。
     当店の人気ナンバー1、この機会にぜひお買い求めください。(以上約60字)

例文1は商品の良さを誰でも知っている場合を除いて、商品のメリットが伝わらない、ひとりよがりなコピーの典型的な例です。この文章では、ターゲットにとって有益な商品なのかどうか分からないので、スルーされる可能性が高くなります。
ボディーコピーを書く前に、コピープラットフォームを作り、商品の特長を洗い出してメリットを整理しておくと、アピールポイントが明確になってコピーの内容を充実させることが出来ます。

例:花粉対策用マスクのコピープラットフォーム

 商品の特長  メリット
  花粉をシャットアウト 
   鼻まわりに隙間を作らない立体構造
   顔にフィットする形状記憶ワイヤー
   高密度の不織布フィルター
   通気性に優れた一層構造  蒸れを防ぐ、着け心地がいい
   立体構造が、口元に空間を作る  息苦しくない、しゃべりやすい、口紅がつかない

次に、コピープラットフォームを参考にしながら商品の特長とメリットをコピーにしてみます。

          鼻まわりに隙間をつくらない立体構造で、花粉を遮断。
    しかも優れた通気性が、息苦しさや蒸れを防ぎます。(以上約50字)

これだけでも商品のメリットが短くまとめられているので、商品説明は十分です。しかし、多忙な読者に読んでもらうためには、もう少し工夫が必要です。多くの読者がコピーを読まないのは、写真を見て分かったつもりになってしまうか、あるいは自分には関係無いと思い込むことにあります。だから、コピーは「ほら、あなたのことですよ」と気付かせてあげる必要があります。
チラシを手にするのは、圧倒的に主婦の皆様です。奥様を含むすべての女性向けのメッセージにしてみましょう。花粉対策用マスクの場合、読んだ本人は花粉症でなくても、家族や友人の誰かが必要としているかもしれません。そこで家族と女性を代表して娘さんというイメージターゲッを設定して、「メイク」というキーワードを追加します。

     メイクも守れる花粉対策。しゃべり易い、蒸れにくい、口紅が付きにくい。
     鼻まわりに隙間をつくらない立体構造で、花粉をシャットアウト。(以上約60字)

この商品を載せたチラシがシルバーをターゲットにしたセール告知の場合、キーワードは装着した時の「心地よさ」等に変更する必要があります。地方の方言を使ってより親しみやすくするのも有効です。

     着け心地の良さ、その秘密は立体構造にあり。
     花粉を強力に遮断するのはもちろん、しゃべりやすく、蒸れにくいマスクです。(以上約50字)

一見簡単そうに思えるコピープラットフォームですが、商品の理解を深めたり、フォーム整理に慣れるまで多少根気が必要です。しかし、慣れた頃には頭の中にフォームが出来ていて、いちいち書き出す必要が無くなります。商品情報が脳内に整理されるので、コピーライターは仕事が速くなり、販売をされる方はお客様の質問に対して、素早く的確に答えられるという大きな副産物があります。

キャッチフレーズの書き方

下手な漫才師が必死にギャグをやっても、観客は引くばかり。一所懸命やればやるほど温度差が出て、客席は冷たくなる。逆に、上手な漫才師は気の利いた一言で観客の心を掴む、頑張るほどヒートアップして、客席が沸いてくる。
コピーも同じことが言えます。これといって特長でもないことを、コピーのレトリックや大げさな言葉で飾りつけても中身がないので相手にされません。テクニックを使えば使うほどお客様の反応は冷たくなります。送り手の考えた特長が、ニーズに応えていない、ひとりよがりの内容だったということです。

ふたりにひとりが○○しています。
常識破りの○○
いままでの○○は何だったのだろう。

コピーに著作権が無いのをいいことに、インパクトのあるコピーの一部を変えて真似をするという方法も確かに有効かも知れません。しかし、物真似は本物にはなれないのです。大切なのは、どう伝えるか(テクニックの問題)の前に、何を伝えるか(何が提供できるか内容の問題)を慎重に探し当てることです。つまりお客様を喜ばせる商品があるからこそ、商品から発生するキーワードが効力を発揮するのです。

お客様のニーズ  →    キーワード    ←  提供できる商品・サービス

ニーズに応えるキーワードから、競合に勝つキーワード(セールスポイント)にするために商品・サービスを考え直します。ターゲットの生活習慣を推察しながら、なるべく多くの情報を集めて相対的な優位性を見つけてください。

 競合店とその特長 →  競合に勝つキーワード ←  提供・開発できる商品やサービス

選んだキーワードをキャッチフレーズに仕上げます。ゴテゴテに飾るようなことはしないで、素直にキーワードをフレーズに乗せるようにします

脳科学的には、感情が伴った出来事は記憶に長く残りやすいそうです。喜怒哀楽のどれかを呼び起こせば記憶に残るのです。でも、それは来店してからの話。チラシの役割は期待感を持って来店してもらうところまで。期待感が高すぎてお店でガッカリということが無いように、過大な表現にならないように注意が必要です。

チラシの構成

いくらきれいなデザインでも、「何を」「どうしたいのか」というチラシの趣旨が伝わらなければ効果を発揮できません。チラシを構成する基本的な要素を5W2Hで整理して、情報の抜け落ちを無くしましょう。

 WHEN・・・・・・・セール・イベント期間、実施日

 WHO・・・・・・・・店名、ターゲット(女性限定、チラシ持参の方など)

 WHERE・・・・・・店舗場所、セール・イベント実施場所

 WHY・・・・・・・・セールタイトル(セール名と理由はひとつにするのが理想)

 WHAT・・・・・・・商品名、イベント内容など

 HOW・・・・・・・・限定販売、抽選、早いもの勝ち、人気商品の大量入荷など

 HOW MUCH・・価格(高額商品の場合、来店するまで隠すこともある)

次に5W2Hで整理した表を見ながら、消費者の購買行動の法則「アイドマの法則」に照らし合わせてアピールの優先順位を決めていきます。アイドマの法則とは、Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)という広告を見てから購入に至るまでの過程を表したもので、五つの過程の頭文字をとって「 A I D M A 」です。

A:いちばん注目を集めるものは商品?価格?タイトル?イベント?、
またそれは紙面のメインとして目立っているか。

I:興味を持たれるのは、商品の特長?セールの独自性?イベントの内容?、また好奇心を引き付ける表現がされているか

D:買いたいと思わせる商品や価格の魅力はあるか。行きたいと思わせるイベントの魅力はあるか。または、チラシに表現されているか。

M:記憶してもらうために、見やすく印象的なコピーやデザインになっているか

A:日程、場所、交通機関、駐車場など、お客様が行動を起こす時の障害になるものはないか

基本は、一番伝えたいことを一番目立つ様にレイアウト・デザインすることです。プロのデザイナーが作る美しいチラシが、売れるチラシとは限りません。お客様がデザインやコピーを鑑賞するために、チラシを見ることはまずありません。有益な情報の有無が問題なのです。

消費者の購買行動に関しては、インターネットの普及によりAIDMAからAISASに変わったと言われています。AISASとはAttention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買)Share(共有)のことです。
興味を持つところまではアイドマと同じですが、インターネットで検索してよく調べた上で購入。さらに購入後、その感想がネット上の情報となり共有され、次の購買につながっていくのです。チラシからホームページへ誘導して、お客様の質問・要望に答えられるよう周到な準備が必要です。

色の使い方

チラシの印象は色使いで決まります。赤は情熱的、青は知的、白は清潔等々、色は人にそれぞれの感情を喚起します。お店のポリシー、業種、扱っている商品、イベント内容、季節感など様々な条件によって組み合わせに配慮が必要です。

目立たなければ意味がないとばかりに、赤を多用すると何を伝えたいのかわかりにくいチラシとなります。また組み合わせによっても、青と赤の組み合わせはハレーションを起こして、目がチカチカして見づらい場合があります。

たとえばカジュアルなレストランの場合は・・・・・まずお店のポリシー「やすらぎグルメ」を薄いグリーンに託してベースに敷く。イベントタイトル「夏のクールディッシュ フェスタ」を爽快な青で。 メイン商品のメニュー写真の中に、白抜き文字で商品名・コース内容・価格を。インパクトと夏の彩りを演出するために、赤いハイビスカスをアクセントに使う。全体の仕上がりはクールに。涼感とやすらぎ感で客を呼ぶチラシを・・・・・

言わば「適色適所」、色に役割を与えておいて、全体がカタチになってきたところで調整します。色が人に与えるイメージについて、私の知る限りのものを表にまとめてみました。よかったら参考にしてください。

カラーイメージ
 白・・・・・・・・清潔  純粋  冷たい
 黒・・・・・・・・威厳  重い  暗い
 赤・・・・・・・・情熱  華やか  過激
 ピンク・・・・・かわいい  女性的  幼い
 青・・・・・・・・知性  涼感  冷淡
 緑・・・・・・・・やすらぎ  安全  若い
 紫・・・・・・・・上品  神秘  不健康
 黄・・・・・・・・明るい  子供  にぎやか

セールタイトルの作り方

チラシに載せるセールタイトルは、お店の商品名です。しっかりとした名前で継続的にチラシを打ち、セール名とお店の名前が消費者の頭の中でひとつになるように仕向けていくことが肝心です。
安易な名前を付けたり、コロコロ変えたりすると広告効果が半減します。商品名は、ターゲットのニーズ、売りたい商品、お店のポリシー、季節あるいはタイミングなどから発想したり判断したりします。ウインターセールやサマーセールをテーマにして商品を紹介する方法に、お店の個性を織り交ぜようというのが、本日の趣旨です。

さて、寒い季節によくあるのが「鍋物フェア」、これくらいのセールタイトルでも内容は伝わりますが商品の良さまでは伝わりません。チラシに写真や商品名が大きく入るからタイトルはこれくらいで良いだろうという判断はできます。
しかし、ライバル店があると話は違ってきます。直接のライバルでなくても鍋ということに関しては
魚屋さん、肉屋さん、豆腐屋さん、八百屋さん、スーパー、コンビニ、飲食店など、ちょっと考えただけでもこれだけのライバルが潜在するわけです。
チラシでの競争はスピードが決め手。チラシのタイトルを見ただけで、お店の名前とおいしそうな商品が連想できるようなタイトルネーミングが必要です。例として魚屋さんで話を進めていきます。

●「だんらん、あったか鍋物フェア」
お店のやさしい人柄は出ますが、まだ魅力不足。それにだんらんは余計なお世話かも。

●「あったか鍋、ふぐ祭り」
少しおいしそうになってきましたが、ふぐに限定しすぎです。

●「山口から、福井から直送!熱々の鍋まつり」
だいぶヒートアップして、お店の頑張りが伝わってきます。

●「熱~い、ふぐ・カニ合戦。産直!鍋祭り!」
今日はお家で鍋にしようか、とその気にさせるタイトルになりました。

ポイントは「合戦」という言葉。お店のなかでふたつの食材がおいしさを競っている、その商品への自信がお店のポリシーとなります。「合戦」をキーワードにして季節ごとのセールを展開していけば、お店の個性(ブランド)の定着につながります。

消費者(少費者と言ってもいいぐらい)は、チラシだけじゃなくテレビCMや雑誌、インターネットなどの膨大な情報の中から必要な、あるいは興味のある情報を瞬時に選び取ります。ですから最近の広告の傾向として、セールタイトルとキャッチフレーズがひとつに。さらに、セールタイトルとキャッチフレーズと店名がひとつのコンパクトなネーミングになれば言うことなしなのです。

消費者が知りたいのは価格と商品の情報だけなんだから、安売りチラシはネーミングも無くして、
商品と価格だけで十分という考え方もあるでしょう。しかし「価格だけの勝負は、先の見えた戦いだ」と思うのなら、将来を見据えて品質やサービス、お店の個性を一緒に売っていくブランド力(付加価値力)強化に注力を怠り無く。

コンセプトの使い方

当たるチラシを作るためには、消費者の心を動かす何かがなければなりません。その何かが、コンセプトです。広告大辞典によると、コンセプトはもともと哲学の言葉で概念という意味だそうです。
広告の世界では、考え方という意味で使われています。広告コンセプトとは、広告の受け手が真に心を動かされるような効果を持った広告表現の考え方ということだそうです。

つまり、商品から得られるメリットを違う視点で捉えて、消費者が普段見過ごしている事や忘れている事・感情を改めて「確かにそういう見方があった、なるほど!」と思い起こさせ、共感してもらえる考え方(意見)を持ったものがコンセプトのある広告です。

コンセプトのある広告は人に何かを気付かせるという意味では啓蒙活動に近い感じになりますが、新しいことを提案するわけではありません。コンセプトは創るものではなく、日常生活に目を凝らし、探し発見して、商品に対する消費者と共有できる価値観(意外性)の掘り起こしという言い方も出来ると思います。

では、コンセプトの使い方をチラシ案を発想する過程から見てみましょう。
①目標・・・・・・・・・・・・・売り上げ○○○万円等
②戦略・・・チラシとホームページと店頭ポスター等のメディアミックスで告知・集客。来店客には店頭POPと陳列で商品の魅力をアピール等。
③チラシの目的・・・・・・・・・戦略の一翼を担うチラシの役割は、集客、お店の知名度・イメージアップ等。
④ターゲット・・・・・・・・・・居住エリア、年齢層、職業、男女別、ライフスタイル等。
⑤市場環境・・・・・・・・・・・競合商品のメリット・売れ行き、ライバル店の動向、商品のライフサイクル等。
⑥アピールポイント・・・・・・・商品・サービスのメリットを整理して、最も有効なメリットを絞り込む。
⑦広告コンセプト・・・・・・・・①~⑥まではクリエーティブにとっては与件整理の段階。与件をふまえて、何をどう伝えるかチラシの考え方を決める。
⑧キーワード・・・・・・・・・・コンセプトに基づいた魅力的な単語。
⑨表現アイデア・・・・・・・・・コンセプトに則ったオリジナリティーがあるアイデア。
⑩表現案・・・・・・・・・・・・コンセプトの具体的な表現への落とし込み。セール(イベント)ネーミング、キャッチフレーズ、デザイン等。

①~⑥まではプランのベースとなる要素ですから、表現段階に入ったら原則的に変更不可。⑦~⑩の順番は理想的なプランの流れです。実際には、⑩のキャッチやデザインを先に思いついたり、
⑧のキーワードがふっと浮かんできたり、コンセプトがアイデアの後だったりと様々です。とりあえず取り掛かりやすいものから始めるというやり方もあります。

順序はどうあれコンセプトが消費者の心を動かす(共感を呼ぶ)もので、アイデアに独創性があり、わかりやすい広告に仕上がれば表現上は成功です。「このチラシのコンセプトは何だ」とコンセプトを意識してチラシを創ると、はずれるものは除外していくことになるので、結果的にシンプルで伝わりやすい広告を作ることにつながります。また、広告代理店や制作会社にチラシを依頼するにしてもブレのない発注と評価ができるようになります。  

手作り広告

広告代理店に発注する場合のおおよその流れは、まず代理店とのオリエンテーションを実施し、依頼の内容をしっかりと伝達します。
代理店は社に持ち帰ってスタッフと協議してアバウトな予算を決める。依頼の内容に合わせてカンプ(コピー・デザイン・写真あるいはイラストで構成した完成物に近いラフ、普通は3案ぐらいに絞って提案)の制作。効果的な折込エリアとチラシの部数を決める。見積もり、カンプ、スケジュール表、折込エリア表を持って貴社にプレゼンテーション。

チラシの表現案と予算が決まれば、制作スタート。2~3回くらい制作物のチェックをした後、印刷入稿。印刷の校正紙を確認し、貴社の最終OKが出れば印刷。印刷屋さんから折込業者に納品、予定日に折込。

これだけのことを頼むのだから予算がかかっても仕方がない。でも、これだけのことを自分でやれば予算が浮きます。失敗を恐れず、ひとつひとつクリアして行けばいいのです。だって、商品のことやお客様のことを一番よく知っているのは店主やスタッフなのですから。

①制作。②結果を分析(反省)。③顧客データ(別項で説明)の蓄積と分析。④今後の方向性を探る。⑤次の機会をうかがう。以上の繰り返しにより、ノウハウが蓄積され、だんだん効率が上がる。
確かに手間はかかります。しかし手作りの作業を通じて、広告という人にアピールするという観点から、商売・商品・サービスを見つめ直すことに大きな意味があります。商品力やサービス力の充実に向けての方向性が見えてくるのです。

当たるチラシと売れるチラシ

当たるチラシと売れるチラシの違いとは、何でしょうか。売れるチラシとは、チラシから直接注文が取れるということ。通販チラシや宅配ピザ屋さんのチラシがこれに当たります。
大量集客を狙う「当たるチラシ」か、大量注文を目的とする「売れるチラシ」か。チラシの制作に取り掛かる前に、どちらを前提にするか決めなければ結局どちらでもないチラシになってしまいます。

「当たるチラシ」は集客を主な目的とするので、タイトルやイベントで期待感を創り出せるものでなければなりません。来店して、購買や再来店につながるかはお店の対応次第。セールやイベントで予想を超える大量集客ができたら、その時のチラシは大当たりチラシと言えます。

「売れるチラシ」は販売が目的なので、商品の魅力が写真やコピーで十分に伝わることが必要です。ただし、一般的に広く認知されているものやお店の定番人気商品であれば通販チラシや宅配ピザ屋さんのような商品のシズル感がなくても、予約注文が取れる場合があります。

「当たるチラシ」で集客、来店を重ねて信用を築く、お店の信用がそのままチラシの信用になり、いつかチラシで商品が売れるようになる。<チラシで商品を紹介→アンケート形式で注文をとる→注文の商品を宅配する→信用を重ねる>。「売れるチラシ」には信用というブランド力が不可欠です。

チラシを作る前に、もうひとつ注意してもらいたいことがあります。チラシに載せる内容が単純でわかりやすいものか、あるいは複雑で分かりにくいものかで作り方が違ってきます。

オール電化のリフォームや学習塾のコース料金など、販売に関して複雑なシステムの説明が必要で、チラシではどうしても説明不足になってしまい、逆に不審感を持たれそうな場合。学習塾なら説明会を開くことも出来ますが、一般的な小売店にそんなスペースは無いのが普通です。
お店の方からスタッフを派遣して直接説明して回るのが確実ですが、人件費のことを考えるとそうもいかない。何とかチラシで対応できないものか・・・・・。

そこで、よく採用されるのがモニター方式。まず体験に協力してもらえる方ををお客様の中から探して、モニターをお願いします。その時の体験談をチラシで紹介するのです。これなら複雑な説明を飛ばして、商品名とその素晴らしさをコメントしてもらうだけで不審感を抱く前に、興味を持ってもらえます。
「詳しくは店頭のスタッフにお尋ねください。」電話で応対が出来る場合は、「電話でのお問い合わせは、000-0000まで」をチラシに明記のこと。宣伝を兼ねてモニター募集のチラシを作って、モニターそのものを話題づくりに活用するという手もあります。

オープン戦略

新製品をデビューさせる時、メーカーは新しい市場を作るために低価格戦略をとることがあります。需要が高まり生産量が増えてコストを抑えられるのを見越しているわけです。
お店がデビューする時は、地域で初めての商品・サービスがあるなど、価格以外に大きな魅力があれば、オープン特価で十分かも知れません。しかし似たような商品・サービスの競合店がある場合は、価格設定が成功のカギを握ることになります。

価格の設定
既存店の価格を基準に、地域の認知価格を知る。具体的な商品・サービスの内容を探り、その価格に対する価値を調べる。地域での価格と価値のバランスを知ることが地域市場の実態把握になります。
既存店と比べて技術力やサービスの面で同等以上でない場合は、価格は安く設定することが必要です。既存店には無い技術やサービスが提供できる場合は、高めの価格設定も可能です。

価格の戦略
商品・サービスの価値とコストのバランスから価格を地域市場のどの辺りに設定するか、二つのケースを例に考えてみましょう。
●地域市場において商品・サービスの価値を現状よりも高める可能性がなく、コストを削減できる可能性もなさそうなら、プライスリーダーである既存店の後をひたすら追いかける。
●商品・サービスの価値を高める工夫があり、コスト削減の可能性もあるのなら、低めの価格設定をすることによって革新性の低い既存店や高コストの既存店を抑えて自らが価格のリーダーシップを取れる。

値引きの戦略
ただ値引きするのではなく、戦略をたてることで値引きをより有効に活用することができます。ただし、市場での商品価値によって、値引きの目的が違ってきますので、慎重に見極めること。
●商品・サービスの年齢が高く、競合が少ない場合、値引きの必要性は少ない。あるいは、関連する商品・サービスを浸透させるために値引きを有効に活用できる。
●商品・サービスの年齢が若く、競合が多い場合、シェア拡大のためには値下げも必要。しかし、競合店の動向を見ながら慎重に。

メイン商品と価格が決まったら、チラシの制作です。オープン必勝チラシは、どれだけ期待感を高められるか、ターゲットの不安を期待感に変える事ができるかにかかっています。

出店の計画段階から、お店のコンセプトやターゲット、提供する商品・サービス等は決定済みのことと思います。しかし、オープン時はあまりターゲットを絞り込まず、世代別(性別、ライフスタイル別、職業別など)に戦略ターゲットを複数設定して広くアピールした方がいい場合があります。それは目論見が外れることに備えるということと、なるべくいろんな方にご来店いただき、口コミ効果を狙いたいからです。

同じ商品・サービスでもターゲットの性別や年齢によって、期待する部分が異なる場合があります。たとえば美容関係の場合、若い方には技術の流行度や美肌効果、中年の方には技術の信頼度やアンチエイジング性というぐらいのズレがあります。年齢や性別に合わせたサービスを用意するなどの柔軟な対応が必要です。オープンチラシで大事なことは、市場に参入しやすい価格戦略と地域の皆様に喜んでもらえる商品・サービスの充実感をしっかり伝えることに尽きます。

史上最速 (KIRIN)

史上最速、5000万本突破、という事実。(7月8日 KIRIN 新聞突出し広告)

食品関係の広告で、最速という言葉は意外性がある。さらに史上最速としたから、インパクトがある。嘘をつかずに一番おいしいビールという印象創りに成功している。
キリン「澄みきり」は、リキュール(発泡性)というジャンルだ。発売以来5000万本達成は、当社比の数字なので本当に凄いことなのかは不明。

競合

劉邦は項羽に100戦100敗しながらも最後に1勝して、漢の皇帝となったのだそうです。(詳しくは、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」をお読みください。)劉邦の一勝への執念を、ぜひ商売にあやかりたいものです。

近所に大型店舗が出来て、どうも調子が悪い。向こうはきれいで広いし、品揃えも豊富で価格も安い、店員も若くて元気がいい、駐車場だって広い。とても勝ち目は無い。・・・・・・・・その諦めたようなため息、ちょっとお待ちください。具体的に何が何円安いか、商品の品質は調べましたか。何が負けて、何で勝っているか、具体的に調べる必要があります。負けているものの中に工夫次第では勝てるものを探し、そういう商品やサービスを充実させていくことを考えてみましょう。

 立地面
 立地条件(交通の便)     
 周辺環境(住宅街、オフィス街、郊外等)    
 客層(利用者の年齢層、職業、居住地)    
 施設面  店舗外観(利用客の評判も知りたい)    
 店内の空間設計(利用客の評判も知りたい)    
 売り場レイアウト(利用客の評判も知りたい)    

 販売面
 商品の品揃え    
 価格    
 商品の品質(安心)    
 付加価値面  カスタマイズ性(親切)    
 スタッフの商品知識(対話)    
 配達等    

 企画・広告面   イベントやセールなど    
 看板・ポスター・大型チラシなど    
 広告代理店または印刷屋

「いい商品をより安く」の精神で頑張っているスーパーは、多くの生活者を支えています。近くにスーパーの無い生活者は、誕生を心待ちにするものです。しかし価格の安さ以外にお客様にとっての存在価値を築けなかったら、新しいスーパーが出来た時、消費者は安い方へ走る。やはり価格の競争力だけではなく、お店の付加価値を創り上げる必要があるのです。

カスタマイズの落とし穴

カスタマイズは完全であればあるほど、消費者にも悪い影響が考えられます。自分に合わせた情報しか送られてこない、これでは裸の王様状態。食事と同じで、好きなものばかりの偏食状態。食わず嫌いのまま知識が広がらないので、生活の幅がひろがらない。
営業する側も一度掴んだ情報に頼りすぎて新しい提案をおろそかにしがちになり、最悪の場合新参者に顧客をさらわれかねない。カスタマイズで築いた信頼関係に安心し過ぎて、お客様の本音や変化を見逃す。そこに、カスタマイズの落とし穴があるのです。

”究極に心地よい”98%・・・・・(UNIQLO)

”究極に心地よい”98% 世界中からの声です。(7月6日 UNIQLO 新聞全30段見開き広告)

商品の使い心地をユーザーに語らせるのはよくある手だが、ユニクロがやるとユーザーの声が世界スケールで集結。国、職業、性別を超えて支持されていることをアピールしている。(世界という割には日本人の声が多いのが気になるけれど・・・・・)
これらはサマーバーゲンと言わないための理由づけで、値引き販売を感謝を込めた期間限定の特別価格としている。

カスタマイズ

企業は、収集した顧客の嗜好やニーズなどの情報を商品開発に生かし、カスタマイズ(商品の個別化)された製品を通じて、さらなる顧客との関係強化を図ります。企業の狙いはマスとしての顧客を取り込むというよりも、個である顧客にリストアップしてもらい、暮らしの中で企業の居場所を作ることなのです。
お客様ひとりひとりの好みに合わせた商品・サービスを開発・提供する「カスタマイズ」は、衣料、飲食、自動車、不動産、情報など、いまや衣食住遊の全般にわたって浸透しています。

好きな理由は、みんなちがう。 (Golf)

好きな理由は、みんなちがう。(7月5日 Volkswagen.Das Auto 新聞全15段広告)

再結成したサザンオールスターズが登場する、ニュー・ゴルフのデビュー広告。「いいところがいっぱいある」と言われても、社交辞令みたいで心に響かない。でもキャッチのように「好きな理由が・・・・・」と表現されると、ファンの声として共感が生まれるのだ。

ダイレクトマーケティングⅡ

モノや情報が溢れ、生活者のライフスタイルが多様化した90年代から、より効率のいいコミュニケーションをダイレクトマーケティングに求めて、様々な考え方が生まれています。

One to Oneマーケティング:新規の顧客開拓を主な目的とするマス・マーケティングに対し、1対Ⅰの双方向コミュニケーションにより顧客が発信する個々のニーズに応えながら「関係性の継続」を重視するマーケティング。

パーミッション・マーケティング:まず生活者の許可を得て情報を発信、共通の価値観を双方で確認しながら、ともだち→顧客→優良顧客へと育成を目指すマーケティング活動。ダイレクトメールなど、従来のマーケティング活動では不特定の消費者に無断で一方的にメッセージを送り付けるので、無駄が多く、迷惑になる場合もある。しかし、パーミッション・マーケティングは送る前に見込み客の許可をもらっているので、レスポンス率が高くなり、効率が上がる。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント):企業が主体的に行う顧客との関係性管理。既存顧客の購買活動などから嗜好やニーズなどを探り、データ化。それを管理し、有効に活用することで 顧客満足度を高める。顧客を新規開拓するよりも既存の顧客でシェアを広げるほうがコストがかからない、つまり「市場シェアより顧客シェア」という考え方がベースにある。

CMR (カスタマー・マネジメント・オブ・リレーションシップ):顧客によるリレーションシップ管理。顧客にとってCRMのように企業に自分の情報を管理されるのはいい気分がしない、マネジメントの主客を逆転して、顧客が自分の情報を主体的に管理できるリレーションシップ構築を目指す。何十万・何百万人という単位の顧客情報の管理を、IT関連技術の進化が可能にしていきます。

のみもの大好きサントリー 世界へ

DRINK for LIFE
のみもの大好きサントリー 世界へ (7月3日 SUNTORY 新聞全15段広告)

BOSS、烏龍茶、伊右衛門などの飲料メーカー・サントリー食品インターナショナルが、東証一部に上場。イメージアップというより、株の販売促進のために企業への期待感を高める広告だ。
サントリーは『のみもの大好き国民』に育てられた企業、だから、世界へ羽ばたくサントリーの株を買って応援を、とコピーを展開している。

ダイレクトマーケティングⅠ

マスマーケティングが生活者を集合体として捉え、共通の情報を送ってコミュニケーション活動を行うのに対して、ダイレクトマーケティングは生活者を個と捉え、100人100様のメッセージを届けるコミュニケーション活動を行います。

小売店は、本来、ダイレクトマーケティング。お客様ひとりひとりの好みやニーズを把握し、喜ばれる商品・サービスを提供しています。お客様とのフレンドリーな関係性をもっと追求して、お客様を情報源とし、少しだけニーズの先回りをする。さらにお客様を媒体にしてお店の評判を高めて、地域での存在価値を高めていく。ゴールデンタイムの番組が体にいい食品の特集だったら次の日は、店頭の見やすい場所に関連の商品を出す。こういった努力の延長線上にニーズの先回りがあります。人生はよくマラソンに例えられますが、そうだとすれば小売店は長いレースの途中に設けられた給水ポイントのようなもの。お客様の道筋を見極めて、おいしい水を用意しましょう。


ポジショニング

なぜ、その商売を始めたのですか。創業時の熱い想いは今もありますか。営業活動を必死にやっていくうちに自分の描いていた店と現実は違っていませんか。もし違っていたら、チラシを作りながら、少しづつ軌道修正をして行きましょう。お店のイメージや商品が変わってお客様が混乱したり常連客を失ったりしないように、軌道修正を始める前に、地域でどのようなポジションにあるのか冷静に分析する必要があります。
●地域でのお店のポジショニング(位置付け・立場)は?
●お客様にどう思われているか
●どこが好かれているのか、どこに不満を感じているか
●地域の人々の生活にどう役立っているか
●競合店と比べてどうか
地域やお客様のこと、お店のこと、商品のこと、スタッフや自分のことをトータルに見つめ直してみましょう。

次に、最も売り上げ構成比の高い稼ぎ頭商品と利は薄いけど人気のある集客商品を見極めます。問題は、稼ぎ頭の商品や人気商品が本当に売りたい商品かどうか、ということ。意欲(本当に売りたい物・サービス)、能力(今の実力・技術力で提供出来る物・サービス)、お客様のニーズ。これら三つのバランスを見てください。そしてそれぞれに具体的な商品を当てはめてください。
●やりたい・売りたいし、やろうと思えばできるのだが、ニーズがない。
●出来ればやりたくない・あまり売りたくない、でもニーズがある。
●やりたい、売りたい、ニーズもある。しかし、実力・技術が伴わない。
●やりたい・売りたい、ニーズもある、十分提供できる実力・技術がある。

意欲だけ、技術だけでは、商売は成立しません。ニーズに応えないで、闇雲に突っ走っても成功の確率は低い。今やるべきことは夢に賭ける冒険ではなく、ニーズを探りながら少しずつ理想に近づくこと。その手段の一つとしてチラシの作り方を工夫しましょう。

人気商品を一番商品にして集客、稼ぎ頭をしっかり訴求して売り上げアップ、そして売りたい商品の魅力をあきらめず訴求していくことです。いま売りたい商品・サービスにニーズがないのは、お客様がその商品・サービスの必要性に気付いていないだけかも知れません。チラシだけでは効果が薄いようなら、店頭でPOPや陳列に工夫して、商品・サービスとの出会いを演出するのもいいでしょう。

ワタシの一行  (新潮社)

ワタシの一行 (7月1日 新潮社 新聞全15段広告)

夏休みに向かって、読書啓蒙キャンペーン。100人が選んだ「ワタシの一行」を書店やWEBで公開したり、読書の素晴らしさを、一行との出会いに託して訴求している。本を読む有名人のイラストは誰?、その人が選んだ一行は何?へ想像力を刺激して広告に引き込んでいる。

顧客データの集め方

情報を元にお客様とのコミュニケーションを深めて、カスタマイズの真髄・御用達の座を射止めたい。・・・・・最も手軽な顧客情報の集め方としては、店頭にアンケート用紙を置いて書いてもらうのがコストも手間もかからない方法です。でも、労力やリスクなどの面倒を考えて、アンケートに答えてくれるお客様はほとんどいません。
アンケートに答えてもらうために、レストランでよく見かけるのが、家族の誕生日・結婚記念日のアンケート。その日が近づくと割引券付特別メニューの招待状が届くという寸法。データを集めた上に、再来につなげるという実に巧みな作戦です。このケースの場合、もう一度行きたくなる味と雰囲気を持ったレストランであることが前提条件です。

地域特性によりますが、効率よくデータを集める方法として「赤ちゃん撮影会」があります。赤ちゃんだけでなく、家族全員の記念写真も撮影。これで家族のデータが揃います。予算の問題で厳しいかもしれませんが、カメラマンは特に有名でなくてもプロに限ります。プロのカメラマンに、かわいい赤ちゃんをさらにかわいく撮ってもらえるのではという期待感が必要不可欠だからです。出来上がりのクオリティーは、企業の信用に直結します。
写真を額に入れ、出来上がりのお知らせを郵送(住所の確認のため)し、そのハガキを店頭での引き換え券とするシステムにします。さらに予算を追加して、コンテスト形式にして優勝者はチラシのモデルに起用するというのも話題性を高めます。

コストを抑えるために、スタジオを持っている写真屋さんに協賛してもらったり、または商店街の活性化イベントとして実施できたら理想的です。協賛イベントは、出来ない部分をカバーし合って比較的小さな負担でクオリティー・アップを可能にします。さらに企業同士の協力体制を築き、販促チャンスを広げるという副産物があります。
広告をする場合の注意として、赤ちゃん撮影会の理由を明確にすることが必須です。撮影会のタイトルは、○○周年感謝祭、創業以来の売り上げ○○億円突破感謝祭など、日頃のお返しをするイベントとして撮影会を実施する旨が伝わるもの。桃の節句、端午の節句に因むのも一手です。